今日も国会では政治家の方々が日本のために議論を繰り広げています。さてその国会にはなぜ衆議院と参議院の2つがあるのか、違いは一体何なのか、疑問に思ったことはありませんか?



今回は「【国会】衆議院と参議院の違いを徹底比較!わかりやすく解説!」と題して、衆議院と参議院の違いについて詳しく解説していきたいと思います。

 



 

衆議院と参議院の語源と歴史は?

まず衆議院と参議院の語源と歴史について紹介していきたいと思います。

衆議院の語源と歴史

衆議院:「大勢の人(衆)が集まって議論し決めること」


選挙による民選という位置づけであり、全議員が国民のより広い階層の投票で選出されたことから「衆議院」と呼びます。また、市民を代表し、信託された立場でもあるので「代議士」とも呼びます。
 

参議院の語源と歴史

参議院:「政治上の議事に参加して相談にあずかること、相談を受けること」


参議院においては、その前身は帝国議会における「貴族院」と呼ばれるもので、当時は皇族や爵位を持つ華族が一定の年齢で自動的に就任したり、華族間の互選によって選ばれていました。


戦後、連合国総司令部(GHQ)が貴族院を民主化する方針を決め、のちに「参議院」となりました。


「参議」とは奈良時代からある官職名で政務を担い、大納言と中納言に次ぐ要職の名であります。


明治維新で太政官(だじょうかん)制が復活すると行政官の一役職として設けられ、一八八五年の内閣制度発足で廃止されました。


議会側には「使い古した言葉を使うのは、封建的なにおいがあるような気がする」との批判もあったが、「参」には集まる、交わるという意味があり、当時の金森徳次郎憲法担当相は「知恵を出し、議会の働きを補充するのに、こういう言葉がよいと考えた」と説明、そのまま採用されたとされています。
 



 

衆議院とはどんな存在?

 
名前の語源となったように、より広く国民から選ばれるため、国民の意思を反映しやすい立場にあると言えます。


また任期が4年ありますが、参議院の6年よりも短い任期であり、同時に衆議院の解散もあるので、入れ替わりが激しいのが特徴です。


そういった点からもより民意を反映させやすいのが衆議院です。


いつ解散になり、選挙になるかもわからないという状況から、「常在戦場」と表現されることもあり、国会期間中は金帰火来(金曜の夜に地元の選挙区に帰り、週末に政治活動をして火曜に東京に来る)となりますが、参議院以上に常に張り詰めた状態で日常活動を行っています。


選挙期間前や選挙期間に入ると多くの候補が駅立ちや辻立ちをしているが、選挙期間直前以外でも、日常的に街頭に立っているのは衆議院議員であることが多いです。


これもいつあるかわからない選挙に向けた取り組みであり、また露出を増やすことによって、より多くの市民の意見や要望を吸い上げ、国政へ届けています。


このことからも参議院議員に比べ、より市民に近い存在であるのが名実ともに衆議院であると言えます。


また前述の通り、参議院と違い任期も短く、解散もあるため、参議院よりも強い権限を与えられています。これを「衆議院の優越」と言います。
 



 

衆議院議員になるにはどうすればいい?

 
衆議院議員の選挙は、(衆)議員全員を一斉に選びなおすため「総選挙」と言われています。


4年の任期満了に伴い行われる通常の総選挙と、衆議院の解散によって執り行われる解散総選挙と2つありますが、どちらの場合においても、小選挙区制と比例代表制を組み合わせた小選挙区比例代表並制で行われます。


この選挙に立候補するためには衆議院議員選挙における被選挙権(立候補する権利)を有する必要があり、日本国民で満25歳以上の男女であることが条件とされています。


ここで言う小選挙区制とは全国を289の選挙区に分け、1つの選挙区から1名の代表者を選びます。


一方比例代制では、各政党の得票数に応じて、議席数を配分する制度です。衆議院の選挙区では全国を11の(比例)選挙区に分け、投票の際は政党名を記入します。


町中に貼ってある選挙ポスター(選挙掲示板以外の民家などに貼ってあるポスター)は基本的に政党ポスターと呼ばれるものです。


つまり、どこかしらの政党に所属することでそれらのポスターの掲示が可能になり、知名度を上げることができます。


また比例代表制においても政党に所属していることでしか、その恩恵を受けることができないので、これが国会議員に無所属(政党に属していない)議員が少ない所以でもあります。
 



 

参議院とはどんな存在?

参議院はもともと貴族院であったことからも、衆議院とは少し違った成り立ちや役割を持っています。


前身となった「貴族院」と呼ばれるものは皇族や爵位を持つ華族が一定の年齢で自動的に就任したり、華族間の互選によって選ばれていました。現在ではそういった仕組みはなくなり、衆議院同様(被選挙権は日本国民で満30歳以上の男女)、一般の市民が国民の信託を得て、選出されます。


参議院には大きく分けて次の2つの役割があります。


1つ目の役割は衆議院の暴走を抑えダブルチェックを行うということです。


2つ目の役割は、幅広い国民の意見を反映することです。


これらのことからも分かるように、衆議院とは少し違った観点から物事を見る視点が必要となってくるのが参議院の特徴です。


例えば衆議院が国民を引っ張っていくリーダー的存在であるとするならば、参議院はリーダーを補佐、助言または軌道修正するサポート役のようなイメージが強く表れます。


実際に参議院議員の経歴を見てみると、一概には言えませんが特定分野における専門家や研究者が多くいます。


参議院は「良識の府」と呼ばれることもあるが、これらの理由が故です。


また、衆議院先議案が衆議院で可決した後に参議院に送付されて国会で二度目の審議に入ることが多いことから「再考の府」、内閣不信任決議は衆議院のみの権限であるが、内閣は常に両院を意識する必要があり、参議院議決が政局になることから「政局の府」とも呼ばれています。
 

参議院議員になるにはどうすればいい?

参議院議員は任期自体は6年ではありますが、3年ごとに定員の半数を改選します。


常在戦場の衆議院とは違い、解散はないため、必ず3年に1回参議院議員選挙が執り行われます。この参議院の選挙を「通常選挙」と言います。選挙制度も異なり、選挙区制と比例代表制を用いて行われます。


参議院における選挙区制は基本的に都道府県を1つの選挙区として行う選挙です。


2015年に公職選挙法が改正され、人口の少ない鳥取県と島根県、徳島県と高知県はそれぞれ1つの選挙区に合区されました。


1つの選挙区からは1人または2人以上の参議院議員が選出されるが、上記の合区選挙区においては、1都道府県に1人ではないため、改正された今現在でも議論の余地があります。


比例代表制は、全国を1つの選挙区として、政党・政党に属する候補者に対する得票に応じて各政党に議席を配分させています。


その投票の際には政党または立候補者名の名前を記入します。2019年の参議院選挙からは、政党があらかじめ優先的に当選させる候補者を決める「特定枠」が導入され、こちらに対しても反発する声はまだまだ多いのが現状です。


そしてこの比例代表制の特徴を利用して、政党によっては、スポーツ選手や芸能人など知名度のある候補者を擁立し、得票につなげるというやり方をとるところもあるので、テレビなどでの露出が多い有名人が政治家になるというパターンは、この参議院が多いです。
 



 

衆議院と参議院の具体的な違いとは?

衆議院と参議院ではまず定数が違い、衆議院では465人、参議院では242人います。


任期も衆議院は4年で、解散もあるのに対し、参議院は6年の任期で、3年ごとに半数が改選されます。


被選挙権(立候補できる権利)においても、衆議院は日本国民の満25歳以上の男女であるのに対し、参議院は日本国民の男女である事は同じだが、年齢は満30歳以上とされています。


また選挙区も大きく違い、衆議院議員の選挙区は小選挙区制と比例代表制を組み合わせた小選挙区比例代表並制で行われます。


一方で参議院議員の選挙区は選挙区制と比例代表制を用いて行われます。衆議院に解散がある以上、衆議院と参議院の選挙のタイミングは違いますが、あえて参議院議員選挙と同日となるよう衆議院を解散する事によって、衆参ダブル選挙が行われることもあります。


任期が短く、かつ解散もある衆議院は、参議院よりも強い権限を持っており、これを「衆議院の優越」と呼びます。


例えば総理大臣を選ぶとき、衆議院と参議院が異なる人物を候補に選んだ場合、最終的には衆議院が選んだ人物が総理大臣に指名されます。そのほかにも、法律案の議決や予算の先議権、内閣の信任・不信任の決議権なども衆議院での意向が優先されます。

衆議院 参議院
任期 4年 6年
定数 465人 242人
解散 あり なし
被選挙権 25歳以上の日本国民 30歳以上の日本国民
選挙区 小選挙区比例代表並立制 大選挙区・小選挙区非拘束名簿式比例代表並立制
内閣信任・不信任決議 あり なし

 



 

なぜ2つあるの?参議院は必要?不要?

衆議院と参議院は独立して議決し、両院の議論が一致すると国会の議決が成立します。両院の議決が異なると、両院協議会で調整します。


二院制である理由としては、国の重要方針を慎重に審議をする必要があるためであることと、国民のさまざまな意見を反映させるためです。


また参議院は大きく分けて2つの役割を持つため、必要とされています。


1つ目の役割は衆議院の暴走を抑えダブルチェックを行うということです。


議院内閣制を採用している日本では、原則的に衆議院の与党党首が内閣総理大臣になります。


それゆえ、衆議院と内閣は強く結びついています。しかしそうなると衆議院の与党は行政権も立法権も持った強い存在になることと同義だと言えます。そこで参議院が存在することによって、立法機能を分割し、1つの議会の多数派による専制的な政治運営をよくせいすることができます。


また、衆議院の衝動的な行動をチェックすることで、拙速の決定を避け、より慎重な審議をすることができます。


2つ目の役割は、幅広い国民の意見を反映することです。


ある意味衆議院の成り立ちと同じようにも思えますが、2つの組織で差をつけているため、両院の異なる視点を持つことができ、より建設的で、多様な意見を国政へ反映させることができます。
 



 

なぜ衆議院に解散があって参議院には無いの?

解散があるのは衆議院だけですが、それは「任期を満了した時」「衆議院において内閣不信任決議案が可決された時」「衆議院において内閣信任決議案が否決された時」「内閣が必要だと思った時」のいずれかにおいて、内閣総理大臣が解散を決定し、総選挙で議員を選びなおします。


これらのことから衆議院の特徴として、参議院に比べ任期が短く、また解散があることによって、より多くの国民の意見を、リアルタイムに国政へ反映させやすいことが分かります。


一方で参議院の存在意義は、目先のことにとらわれずに議論をすることができます。それが「良識の府」と呼ばれる所以でもあります。


仮に参議院も解散があった場合、両議員の議席が空白になってしまう可能性も出てきます。もしそういったときに国家に有事があれば誰も対応できなくなってしまうので、衆参同時に選挙がある場合においても、参議院の非改選の議員がいることでリスク回避をすることができます。


また衆議院解散のため衆議院が存在せず国会が開催できない場合において、国に緊急の必要が生じたために参議院で開かれる国会の機能を代替することもあります。


これらの機能を担保するため、衆議院には解散があっても、参議院には解散がないのです。
 



 

「衆議院の優越」とは?

衆議院は、参議院に比べ、任期が4年と短く、また常在戦場でいつ解散になるかわからず(選挙日程が未定)、より広く国民から信託され、国民の考えを反映させやすいため、参議院よりも強い権限が与えられています。これを「衆議院の優越」と言います。


具体的には、以下の4つです。


1つ目は衆議院で可決・参議院で否決となった(両院協議会で議決が一致しない)場合、衆議院の出席議員3分2以上が再び賛成すれば可決されます。これを法律案の議決権と言います。


2つ目に予算は必ず先に衆議院で審議されます。これを予算の先議権と言います。


3つ目に内閣を「信任する・しない」と決められるのは衆議院だけです。これを内閣の信任・不信任の決議権と言います。


最後に両議院の議決が異なり、両院協議会で一致しない場合、衆議院の議決が国会の議決となります。これは予算の議決・内閣総理大臣の指名・条約の承認などを指します。


また、これらについて衆議院の優越が認められているのは、衆議院と参議院が反対の議決ばかりしていると、いつまでも決まらなくなってしまい、スピード感が求められる国政において、慎重に審議しつつも、国家の運営を円滑に行うために採用されています。
 



 

二院制のメリットは?

二院制のメリットとしては、仮に一院制を採用した場合、総選挙の結果では国家の方針がいきなり180度変わってしまうことになりかねません。


そうなると政情の不安定化に繋がってしまいます。これを防ぐため二院制にすることで、片方(衆院か参院)の選挙で多数党が変わったとしても、ねじれの状況になるだけで、ねじれの間法律は変えられません(両院承認案件)。


すなわち政情が安定します。与野党協議によって政策の修正が行われる可能性が増大したり、野党主導で国政調査権が行使されたりします。


ねじれの間法律は変えられませんが、国としての最低限の機能を維持するため「内閣総理大臣の指名」と「予算の承認」は衆議院だけでできるようになっており(衆議院の優越)、いわば冬眠状態にあることになります。


ねじれた後、時間をかけて次の選挙で国の針路を決めることになりますので、国民に熟慮期間を与えることができるのが大きなメリットです。


また、衆院と参院において同一政党(もしくは連立政党)が多数党となる場合ねじれ国会になりませんが、二院制は、衆院及び参院によって幅広い層の国民の意思を反映させることができ、それにより多角的な議論をおこない、ダブルチェック機能を働かせることで与党の暴走を抑えられる働きをもちます。
 



 

二院制のデメリットは?

一院制の場合と比較し、ねじれ国会になってしまうとスムーズな政治ができなくなります。


しかし日本の参議院については衆議院と全く同じ意思を示すと「カーボンコピー」と揶揄され、衆議院と正反対の意思を示すと「決められない政治」と言われる難しい存在であるという指摘があるのも事実です。


衆院と参院で多数等が異なるねじれ国会では、衆議院の優越により、参院で否決された法案を再度衆院で審議し、可決させることもできますが、その場合衆議院の3分の2以上の特別多数で賛成する必要があり、過半数の場合よりハードルが上がります。


また、衆議院での可決から60日以内に参院がなんら決断をくださないことで参院は法案を否決したことにできますが、この期間は全く法案が動かないことになりかねず、円滑な運営を妨げることになります。


以上の二つの理由で、衆院・参院による二院制では、野党が参院で力を持つことによって、国家運営のスピード感が落ちる可能性があると言えます。また内閣の計画を狂わせることによって、結果として与党の政権運営を邪魔することができ、国民からすると、「政治家は一体何をしているのだ」という政治への不信感を生む結果にもつながるし、政治の一体感が生まれづらいのが大きなデメリットと言えます。
 



 

日本の他に二院制を採用している国は?

二院制の「二」に対し、両院制の「両」は「対になっている2つ」という意味合いを持ちます。日本は両院制を採用しています。


一般に両院制と二院制は異なる制度を指すものとして使い分けることもありますが、ここでは同義のものとすると、この二院制及び両院制を採用している代表例としては、主要国首脳会議(いわゆるサミット)に参加している国が挙げられます。


具体的には日本を始め、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、カナダ、ロシアです。


二院制を取り入れているかは、それぞれの国での歴史的背景などによりけりだが、これらの国の共通点は、先進国で人口規模が多い国であり、また広い国土に人口が散らばっています。


この人口規模は大きな関係があり、仮に人口規模が小さい場合、第二院が不経済で余分な存在であると捉えられることもあります。


また、人口が広い国土に散らばっていることで、各地域の代表を選出し、広く国民の意思を反映させるためには一院だけでは不十分であるという考えもあります。


もちろん一概には言えないので、中国は人口が世界一多いが一院制で国家運営をしていますし、国土の小さい国でも二院制を採用している国もあります。


二院制の採用と経済的成長は一概に結びつけることはできませんが、世界の流れとして二院制を採用する国は増え続けています。
 



 

「代議士」は衆議院議員だけ?参議院議員は代議士ではない?その理由は?

代議士を呼ぶのはなぜ衆議員だけなのかは、まず参議院の成り立ちを知る必要があります。


参議院の前身となった「貴族院」と呼ばれるものは皇族や爵位を持つ華族が一定の年齢で自動的に就任したり、華族間の互選によって選ばれていました。華族や元官僚、学識経験者、高額納税者などから選出された非民選議員の院でありました。


一方で一般国民の代表は衆議院が担いました。衆議院議員が国民に代わって議事に携わる、つまり、より多くの国民から信託され「国民の代表として議事に携わる」というところから、敬意と親しみを込めて「代議士」と呼ばれ、その名残が現在でも続いています。これらが参議院議員は代議士とは呼ばない理由です。


しかし参議院が「貴族院」であった当時とは違い、現在では参議院も選挙区制と比例代表制を用いて広く国民から選出されています。


ゆえに、参議院議員も代議士としての意味合いを持っているので、代議士と呼べなくもないですが、当時からの名残が言現在も強く残っているのが現状です。


もちろん衆議員議員、参議院議員どちらも国民を代表しているので、単純に呼び方が違うだけであって、地元市民にとって敬意と親しみがあることに変わりはありません。
 



 

まとめ

衆議院と参議院では、成り立ちや求められる機能も違いがあるが、それぞれの特性を生かすことで、政治をより良いものにしていくことが国民に一番求められることであると思います。


たとえ両院での多数意見が食い違い、うまく審議が進まなかったとしても、すべて国民の安全のため、国家安寧のためであると考えれば、いささか仕方ないことかもしれません。


一番大事なのは、私たち国民が、誰を衆議院議員または参議院議員として国政に送り出すかということではないでしょうか。