皆様、こんにちは。本日は、日常生活において私たちが頻繁に使用しているが、あまり意識することのない「ファスナー」、「ジッパー」、「チャック」という言葉の違いについてお話ししたいと思います。
これらの言葉は、一見異なるものを指しているように感じられるかもしれませんが、実は同じ「スライドファスナー」を指しているのです。その語源や歴史、そして各名称の背景に隠された興味深い事実を紐解きながら、皆様に新たな視点を提供できれば幸いです。
さあ、私たちの身近にあるこの小さな部品について、少し深掘りしてみましょう。
ファスナー、ジッパー、チャックの違いとは？
ファスナー、ジッパー、チャックはすべて「スライドファスナー」として統一される同じものであり、呼び方の違いに過ぎません。実際のところ、これらの名称の違いは語源によるものであり、意味には違いはありません。
詳しく見る：ファスナー、ジッパー、チャックの由来
それではファスナー、ジッパー、チャックの由来について説明いたします。
ファスナーとは？
「ファスナー」という言葉は、英語の「fasten（しっかり留める、固く締める）」に由来し、これに「er（物）」をつけたものです。つまり、「しっかり留めるもの」という意味になります。国際的には「ファスナー（Fastener）」は「ネジ」などの締め付けるものを指すことが多いですが、日本では一般的に「スライドファスナー（Slide Fastener）」を指します。
ジッパーの起源
「ジッパー」は、1921年にビー・エフ・グッドリッチ（B. F. Goodrich）社が名づけた商品名で、当初は登録商標でした。ジッパー（Zipper）の名前は、ファスナーを閉めるときの「シューッ」という音から取られています。この音に「er」をつけて名づけられ、ファスナーが速く閉まることを示しています。現在では一般名称として使われています。
チャックの背景
「チャック」は日本のチャック・ファスナー社が名づけた商品名で、巾着袋（きんちゃく）の「ちゃく」をもじった和製英語です。この名称は日本でのみ通用し、海外では理解されません。現在では日本国内で一般的な呼び方となっています。
名称の違いをまとめた表
| 名前 | 言語 | 名前の種類 | 名づけ親 | 由来 |
|---|---|---|---|---|
| ファスナー | 英語 | 名詞 | ― | fasten（しっかり留める、固く締める）の名詞形 |
| ジッパー | 英語 | 一般名称 | ビー・エフ・グッドリッチ社 | ファスナーを閉めるときのシューッという擬音からの造語 |
| チャック | 日本語 | 一般名称 | チャック・ファスナー社 | 巾着袋（きんちゃく）をもじってつくられた造語 |
歴史の流れ
ファスナー、ジッパー、チャックの歴史について少し触れてみます。
ファスナーの誕生と進化
1891年、アメリカ人ホイットコム・ジャドソン氏によってファスナーが発明されました。これが最初のスライドファスナーの登場です。その後、1893年にはユニバーサルファスナー（Universal Fastener）社によって量産が開始され、「スライドファスナー」という名称が一般的に使われるようになりました。
ジッパーの登場
1921年には、ビー・エフ・グッドリッチ（B. F. Goodrich）社によって「ジッパー（ZIPPER）」が発売されました。この商品名は瞬く間に広まり、現在ではファスナーの代名詞として世界中で認識されています。
日本独自のチャック
1927年には、日本のチャック・ファスナー社が「チャック印」を発売しました。これは日本独自の呼び方であり、海外ではほとんど知られていませんが、日本国内では一般的に使われています。
豆知識
ここからは関連する情報を豆知識としてご紹介します。
・ファスナーの歴史は19世紀に遡りますが、現在の形状に至るまでには多くの改良が重ねられました。最初の特許は1851年にエリアス・ハウが取得しています。
・初期のファスナーは「クローズラー」と呼ばれ、現代のものとはかなり異なり、普及には至りませんでした。
・ファスナーが大量生産されるようになったのは、1917年にギデオン・サンドバックが「フックレス・ファスナー」を改良し、信頼性が向上したことがきっかけです。
・ジッパーはアメリカで一般に普及するまで時間がかかりましたが、第一次世界大戦中の軍用衣料への採用が大きな転機となりました。
・ファスナーには金属製とプラスチック製があり、それぞれ用途に応じて使い分けられます。金属製は強度が高く、プラスチック製は軽量で錆びにくい特性があります。
・「ジッパー」という言葉は、特にアメリカ英語で広く使われ、イギリス英語では「ジップ（Zip）」が一般的です。
・ファスナーの歯の部分には「エレメント」と呼ばれる名称があります。エレメントの形状や素材は、ファスナーの滑らかさや耐久性に大きく影響します。
・ファスナーには「シングルスライダー」と「ダブルスライダー」があります。シングルスライダーは一方向にしか開閉できませんが、ダブルスライダーは両方向に開閉できるため、より柔軟な使い方が可能です。
・日本では、YKK（Yoshida Kōgyō Kabushiki-gaisha）がファスナーのトップメーカーとして知られており、その製品は世界中で高い評価を受けています。
・世界初の防水ファスナーは1930年代に開発され、現在ではアウトドア用品やダイビングスーツなど、多くの分野で利用されています。
・近年では、リサイクル素材を使ったエコフレンドリーファスナーも登場し、環境への配慮が進んでいます。
おわりに
以上が、ファスナー、ジッパー、チャックの違いとその歴史についての概要でした。この小さな部品にも、長い歴史と興味深い背景があることを改めて感じていただけたでしょうか。日常生活の中で何気なく使っているものにも、意外な一面や深いストーリーが隠されていることを知ると、さらに興味が湧いてきますね。
今後、ファスナーを使用する際には、今日お話しした内容を思い出していただければ幸いです。それでは、皆様の日常が少しでも豊かになることを願って、これにて締めくくらせていただきます。ありがとうございました。
コメント