【ドラマ】『シャーロック アントールドストーリーズ』【第7話】のあらすじからネタバレ、ストーリーや感想までまとめてみました!
シャーロキアン――世界で指折りの有名な探偵、シャーロック・ホームズファンを指す言葉ですね。
これまでに洋ドラ、洋画、アニメ、と映像化されてきました。
今回は、『モンテ・クリスト伯』、『レ・ミゼラブル』に引き続き、なんとシャーロックが邦ドラ化!
名探偵シャーロック・ホームズを犯罪コンサルタントを名乗る誉獅子雄(ほまれ ししお:ディーン・フジオカ)として、捜査一課の警部レストレードとして江藤礼二(佐々木蔵之介)と、そこに加わる元医師ジョン・Hワトソンとして若宮潤一(岩田剛典)が事件の絡まった糸を解く推理ドラマ『シャーロック アントールド ストーリーズ』のどこよりも詳しいあらすじとネタバレ、感想まとめをお送りします。
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『シャーロック』【第7話】のキャストと原典で相当するキャラクター
誉獅子雄・・・ディーン・フジオカ → シャーロック・ホームズ
若宮潤一・・・岩田剛典 → ジョン・H・ワトソン
江藤礼二・・・佐々木蔵之介 → レストレード警部
小暮クミコ・・・山田真歩 → サリー・ドノヴァン
レオ・・・ゆうたろう → ベーカーイレギュラーズ(ベーカー街遊撃隊)
羽佐間虎夫・・・山城琉飛
羽佐間寅二郎・・・伊武雅刀
羽佐間道枝・・・今藤洋子
須磨銀次・・・蛍雪次郎
長嶺加奈子・・・黒沢あすか
寺島・・・遠山俊也
かさい・・・有沢雪
ラジオDJ・・・クリス智子(声の出演)
『シャーロック』【第7話】のストーリー(ネタバレあり)
『シャーロック』【第7話】のストーリーを見ていきましょう!
今回はストーリーを
- じっちゃんを探して!
- 祖父・寅二郎の秘密
- 隠した過去と相棒の真実
の3部に分けてお話していきます。
ではどうぞ!
『シャーロック』【第7話】1:じっちゃんを探して!
町のスピーカーから流れる夕焼け小焼けの音楽。
薄暮れの中、杖をつきつき老人がひとりで歩いているといきなり背後から殴り掛かる人物。
そしてマスクをした人物が二人がかりで老人を運んでいきます。
ベイカーハウスで、冷蔵庫を覗いた若宮の笑顔が消えます。
「お~~~い! やっていいことと悪いことがあるぞ」
ここにあったはずの俺のプリンが1つ減ってる。
怒って獅子雄に訴える若宮に、獅子雄は言います。
習慣とは反復によって習得し、少ない心的努力で繰り返せ固定された行動のことだ。
だから記憶からも抜け落ちやすい。
「つまり自分で食べたのに忘れたって言いたいのかよ?」
「あるはずのものがない。だから 盗まれたとわめく。あー、そうだ」
獅子雄は、「昔、こんな教師がいた」と話を始めます。
ある生徒の給食袋がクラスの中でなくなった、誰が取ったか、全員目を瞑るので取った人は手を挙げなさい、と言う教師。
「獅子雄君、目をつむって」と子どもの獅子雄が教師に名指しで言われますが、獅子雄はその必要はない、と言って説明を始めたのでした。
どうせ誰も手を挙げない。
田中ちゃん(給食袋を無くしたという生徒)がこの教室に入ってきたのは、遅刻ぎりぎりの 8時29分。
今から約60分前だ。
そのとき他の生徒はすでに席に着いていて、その後、1時間目が終わる今の今まで、誰もこの教室を出ていない。
当然、教室で1人になれた者はいない。
つまりこのクラスで、犯行が可能だった生徒はゼロだ。
もちろん、複数犯の可能性もある。
でも複数犯であれば、目をつむる瞬間に共犯者と少なからずアイコンタクトを取るはず。
最後列から見ていたけど、その様子もなかった。
教室の外、つまり家を出てから学校に着くまでの間に盗まれた可能性もなくはないが、現実的じゃない。
っていうことは、考えられるのは1つ。
田中ちゃんが家に置き忘れた。
彼がおっちょこちょいなのは、周知の事実だ。
彼がよく忘れ物をするのも事実。
遅刻ぎりぎりで慌てていたのも事実。
そして、「給食費がない」と叫んだとき、先生が僕たちを疑いの目で見たのもまた、事実だ。
そこで田中くんの母親が教室に入ってきて、田中くんが忘れた給食袋を見せます。
「すぐに『ない、ない』と騒ぐ子供も子供だが、盗みと決め付ける大人も大人だ。事実をたどれば、真実にたどりつく。ただ、それだけのこと」
と解説するのは大人の獅子雄。
そんな子供時代にエピソードに、若宮は「ホント、嫌なガキだな」と吐き捨てるように言ってコーヒーを入れにキッチンに立つのでした。
そこへ子どものお客が事件の捜査を依頼しに来ます。
羽佐間虎夫という少年は、自分自身が依頼人だと名乗り、祖父を探してほしい、と言ってきました。
当初は子どもの来客と見て、別室に隠れ、接客は若宮に任せた獅子雄でしたが、虎夫少年に、「あなたですね、本物の獅子雄さんは」と見破られます。
「よく分かったな」
虎夫はつらつらと理由を述べます。
この人、名前を尋ねたとき、右上を見たんです。
人は嘘をつくとき、利き手の上の方を見る確率が高い。
アイ・アクセシング・キューっていう神経言語プログラミングです。
この人はお茶を右手で置いたから右利き。
でも偶然かもしれないから、試しに、昔、徘徊老人の行方を突き止めたことがあるって適当な話をしたら、また右上を見た。
つまり、この人の言ってることは嘘だ。
「合格!! 若宮ちゃんより賢いな」
獅子雄は虎夫の話を聞く気になりました。
「これ、じっちゃんが落とした袋です」
虎夫の祖父、寅二郎は、一昨日、自宅を出たきり戻って来ないと言います。
警察へは捜索願を出したけれど、徘徊老人のこととされ、真剣に探してくれないからここへ来たのだ、と言いました。
虎夫曰く、寅二郎に認知症は少しだけあるが、ほとんどはしっかりしているとのこと。
そして、寅二郎がとても大事にしていた袋が、よく寅二郎が通る道に落ちていたのだ、と見せました。
お守り袋のような大きさの袋の中には、白い薬らしき粉が包まれた紙包み。
獅子雄が白い粉を舐めてみて「お前のじっちゃん、ヤバいやつかもな」と言います。
虎夫はその言葉に目を見開いて動揺しました。
「よし、少年、現場を案内しろ」
――かつて歴史上の偉人が言っていた。
この世から嫉妬がなくなれば、戦争もなくなる、と。
確かにそうかもしれない。
でも、名もなき僕は思う。
嫉妬がなければ人は成長できない、と――
こっちですと虎夫が案内したのは河原。
河原で足跡がいくつあるかと訊ねる獅子雄に、2人分と答えた若宮を相手に、「3人分」と証拠を示す虎夫。
河原の下のほうで3人分の足跡は、上のほうでは2人分になり、かつ、足跡が深くなっていました。
そこから、虎夫と獅子雄は、寅二郎が2人の人物にかつがれて連れていかれたのでは、と想定します。
そして、見通しのよい河原と川沿いの道でそんな大胆な犯行を行うのは、犯罪に長けた人物ではなく、素人だろう、と虎夫と獅子雄が言います。
獅子雄は、虎夫と若宮を連れて、河原のホームレスたちのところへ聞き込みに行きます。
「ここいらは車自体あまり通らないから、見慣れない車が通ったら、絶対目に付くはずだけど・・・」
獅子雄は思いついたように虎夫に、寅二郎の消えた日の動向を訪ねます。
「朝からデイサービスに出掛けてました」
次はそちらへと移動します。
虎夫に案内されたデイサービスのケアステーションで、寅二郎を担当していた長嶺という介護士の女性に、寅二郎が失踪した日、寅二郎は歩いて帰ると言った、と聞きます。
施設長の寺島という男も出てきて、虎夫が寅二郎の孫だと紹介されると、々と頭を下げて寅二郎失踪について悔やみを述べました。
ふと獅子雄に不審な目を向けた寺島に、獅子雄は「少年野球のコーチをやっています」と嘘の自己紹介をします。
そんな長嶺と寺島が、デイケア使用者を車で送って行くと言って施設を出ていく足元を見つめる獅子雄。
そしてふたりを見送ってから下駄箱の中にある泥土を集めるよう、ジップ袋を渡してと多呂に命じます。
そこへ虎夫の携帯に、虎夫の母、道枝から電話がありました。
寅二郎が帰ってきたと言います。
寅二郎を探して河原沿いの道を自転車で走っていた道枝が、とぼとぼひとりで歩いていた寅二郎を見つけたとのこと。
『シャーロック』【第7話】2:祖父・寅二郎の秘密
虎夫の自宅へ急ぎ戻った虎夫と獅子雄。
寅二郎の親指の付け根に「×」の文字が彫られているのを見て、道枝にこれは何かと聞きますが、道枝は知らない模様。
獅子雄は寅二郎に、寅二郎が落としたという小袋を見せながら、これは何かと訊ねますが、寅二郎はうつろな目で黙り込んだままです。
獅子雄は寅二郎に囁くようにして話しかけます。
寅二郎さん、あなた実に興味深いものをお持ちだ。
あなた、もしかしてヤバいやつなんじゃないですか?
この袋の状態からして50~60年前のもの、つまり1960年前後。
そのころ日本は高度経済成長期真っただ中で、センセーショナルな事件が多く、盛り上がる犯罪者も大勢いた。
・・・話す気になったら連絡してください。
最後に「警察ではないのでご安心を」と付け加えます。
「獅子雄さん。じっちゃん、やっぱ、ヤバいやつなんですか」
心配そうに尋ねる虎夫に、獅子雄は言います。
「真実が知りたければ、事実をたどれ」と。
ベイカーハイツに、江藤がいつものように事件の話を持ち込んできていました。
阿佐谷と五反田の2カ所で2人の男が死んだ、どちらも青酸化合物による中毒死。
心臓病の薬に青酸化合物入りのカプセルが混入された阿佐ヶ谷の遺体。
青酸化合物の盛られたホットドッグによる中毒死の五反田の遺体。
使用された薬物の成分は完全に一致した。
そして、それぞれの死体のそばに置かれたトランプのキング。
阿佐谷にはスペード。
五反田にはダイヤ。
これを江藤は、犯人があとふたり、クローバーとハートのキングの分、殺人を予告している、と言います。
「ねえ、あんなガキの依頼なんか放っといて、こっちやろうよ」
興味を示した若宮がそう言ったとき、来客を告げるチャイムが鳴ります。
「思ったより早かったな」
やってきたのは寅二郎でした。
追い返される江藤が慌てると、獅子雄は指示を出します。
「五反田で死んだ男の背後関係を調べろ。青酸化合物の入手経路が分かるはずだ。それから死んだ2人の経済状況と、生命保険加入の有無もだ。分かったら とっとと帰れ」
訪ねてきた寅二郎は、しっかりしていました。
「ずいぶん聞いた話と違うけど、認知症じゃなかったの?」
「あれは芝居だ」
小声で話す獅子雄と若宮。
「真実を話していただける、ということでよろしいですか。あなたは何か、大きな秘密を隠し持っている。そしてそれを墓場まで持っていこうと考えている」
獅子雄が切り出します。
だがもし、認知症にでもなって、誰かにその秘密を話してしまったら・・・、そう心配した あなたは、普段から認知症のふりをして、あることないこと言い続けることにした。
「木を隠すなら森の中、ですよね?」
そう言う獅子雄に、寅二郎は先日と打って変わって眼光鋭く、ドアのところですれ違った江藤を刑事だと見抜きます。
しかし「まあ警察じゃなきゃいいか」と言って、失踪していた間のことを話し始めます。
誰かに袋をかぶせられてさらわれ、車で2時間運ばれた。
時間がわかるのは車の中でラジオ番組が流れていて、時刻を告げていたから。
番組名は「マジック何ちゃら」と寅二郎が言います。
そして車から降ろされて人の気配がなくなってから、袋から顔を出すと目の前に金庫があったと。
『この金庫を開けろ。余計な真似はするな。中身も見るな。見たら殺す』と張り紙も残されていたそうです。
そして、外ではまるでサルか何か動物が鳴くような声が時折響いていたと言いました。
「どういうこと?」とわけがわからない若宮に、獅子雄が鼠小僧って知ってるか?と言い出し、そして寅二郎には「あんた、もしかして昭和の鼠小僧なんじゃないですか」と言います。
「バカ言うんじゃねえ。俺はただの金庫破りだよ」
足は鎖で縛られていたけれども手は自由で、金庫破りのための道具もそろえてあったため、金庫を開けた寅二郎、中身は見なかった、と言います。
よく殺されずに済んだ、と言う獅子雄に、寅二郎は「あんな金庫に丸二日もかかった」と悔しそうに言います。
その寅二郎が右手の親指、つまり×のしるしのついた指を、今も全く使おうとしていないことを獅子雄は言い当てました。
「あなたはあえて右手の親指を使っていない。その指の入れ墨と何か関係でも? 右手の親指を使わなかったから、金庫を開けるのに48時間もかったんじゃないんですか」
何が言いたい、と声を荒げる寅二郎をじっと見つめて、獅子雄は「まあ、いいでしょう」と話を変えました。
「あなたがどこに監禁されていたのか、その場所を探します」
「ホントか!?」
若宮が地図に円を描いています。
その傍らで獅子雄が新聞記事にチェックを入れていました。
「何、それ」
「1950年代に活躍した大泥棒、『須磨寅の大鼠』だ」
須磨寅の大鼠は盗んだ後に、必ずある紙を残した。
須磨寅の大鼠は犯行の証しとして、寅の刻の方角、つまり東北東にある壁に、この紙を張り付けた。
それで世間は、須磨が寅にあるので『須磨寅の大鼠』と呼び始めた。
獅子雄は虎夫から預かった寅二郎の小袋の中から紙を取り出し広げます。
そして新聞記事をひとつ指し示し、「これが最後の仕事だ」と言いました。
「うわっ。一緒だ」
小袋の中の紙に書かれた意匠と新聞に載っている須磨寅の大ネズミが遺した紙の意匠が同じです。
「この日を境にぱったりと姿を消してる」
しかし新聞には「須磨寅の大ネズミ」は二人組と書かれていました。
「じいさんは、今回の一件に相棒が絡んでると考えてる。」
「何で?」
「自分が金庫破りということを知っていたからだ」
「じゃあ、元相棒が犯人ってこと?」
今度は若宮は地図のほうへと獅子雄を呼び、解説します。
車で移動して2時間ってことは、距離にして約120km。
つまり監禁場所はこの線上のどこかだ。
寅二郎さんが車内で聞いたのは、北関東FMの『マジックアワー・サタデー』って番組だ。
北関東FMの電波塔はこことここ。
FMの電波塔の飛距離は80kmだから、こういう範囲で飛んでんだよ。
「つまり寅二郎さんを拉致した車は、江戸川区小岩を出て、北の方角、栃木・茨城方面に向かった可能性が高い」
「やるな、若宮ちゃん」
獅子雄に褒められ、万座他でもなさそうな若宮。
獅子雄は若宮に、ケアステーションの施設で写してきた写真を見せます。
そこにはスタッフの自己紹介があり、寅二郎の担当者・長嶺の自己紹介を獅子雄は写してきていました。
長嶺加奈子、ここに来て1年。やりがいを感じる毎日ですとあります。
「以前は地元の栃木で介護士をしていたはずだ」
それは長嶺が、施設の中で転んだ老人を抱き起すときに、栃木で使われる方言「だいじ=大丈夫」の言葉を使っていたことから獅子雄が指摘したことでした。
「よし、行ってみるか」
若宮が獅子雄を促して出かけようとしますが、獅子雄は断ります。
「任せてもいいか? 俺はこっちで試したいことがある。・・・頼む」
ひとりで出かけようとした若宮はふと思いついて獅子雄に釘をさすように訊ねます。
「なあ。まさかあのガキと何かたくらんでるんじゃないだろうな」
さっきとはうってかわった気の抜けた顔で「頼れるのはお前だけだ」とけろっと言います。
しかし最後にこう付け加えました。
「それと、女がいた老人ホームを見つけたら、そこにいる人間にこう聞いてくれ。『右手の親指がない老人を知っているか?』と」
獅子雄が広げている新聞記事には、須磨寅の大鼠の反抗現場に、犯人のものと思われる親指が一本残されていたと書かれていました。
若宮を送り出して、獅子雄は呟きます。
「見慣れた車、か」
バイオリンを弾きながら、獅子雄の思考はあの河原へと飛びます。
ホームレスの老人が言った「見慣れない車が通ったら目に付くはず」という言葉。
寅二郎の指の付け根の印。
最初にケアステーションを訪ねたときに見つけた、「車庫の使用禁止」の貼り紙。
『シャーロック』【第7話】3:隠した過去と相棒の真実
河原から虎夫が助けを求めて、道へ飛び出します。
1台の車を無理やり止めると、中からは介護士の長嶺と寺島。
そして、河原でひっくり返っている獅子雄を指さし、「ろれつが回らなくなって倒れたから病院へ運んでくれ」と懇願します。
長嶺と寺島が、獅子雄の頭と足をそれぞれ抱え、河原から獅子雄を車の中へと運びます。
そして車が出発したところで獅子雄は大声で「ストップ!」と叫び、車を止めさせました。
礼を言って車から降りる獅子雄と虎夫。
たった今、獅子雄を運んだときに河原についた足跡と、寅二郎がさらわれたときに残っていた足跡の写真を照らし合わせて、獅子雄と虎夫はそれが一致していることを確認します。
虎夫はそのあと、ケアステーションへ寅二郎を迎えに行きました。
「迎えにきたよ。でもその前にこれ見て」
虎夫はスマホを寅二郎の前に置きます。
スマホからは獅子雄が謎解きの実況中継をしていました。
寅二郎が捕らわれていた間に聞いた、サルの鳴き声のような音は風の強いところでしなる金属のシャッターの音。
そして見覚えはないか、と金庫を見せます。
それを見て慌てる寅二郎。
「銀次はそこにいるのか」と叫びます。
しかし獅子雄はとぼけ、あとで説明します、としか言いません。
寅二郎は虎夫に、この場所へ案内しろと言って、自ら先にケアステーションを飛び出すのでした。
虎夫とともにケアステーションを飛び出した寅二郎の前に、長嶺と寺島がケアステーションの車で戻ってきます。
「俺の拉致された場所が見つかった。連れて行ってくれ」と叫ぶ寅二郎。
落ち着かせようと寅二郎を抱きかかえる長嶺と寺島でしたが、そのときケアステーションの車庫のシャッターが上がっていきます。
「寅二郎さん、あなたが監禁されていたのはここです」
車に2時間も乗せられたと錯覚させるためにラジオを聞かせて近所をぐるぐる回った末、寅二郎は結局ケアステーションへ連れ戻され、車庫の中で金庫と向き合あわされたのだと。
すると長嶺と寺島が車に乗って逃亡しようとします。
そこへ江藤がパトカーを引き連れて登場。
自分が開けた金庫を前に膝から崩折れる寅二郎。
獅子雄は寅二郎と虎夫を連れて、鼠小僧次郎吉の墓へ来ていました。
寅二郎の持っていた小袋の中の白い粉は、次郎吉の墓石を削ったものだったのです。
「人々は御利益を求めて、この白い粉を持ち帰る」
「全部お見通しってわけだ」
力なくぼやく寅二郎に、獅子雄は「あなたも、お見通しだったんですよね」と言います。
金庫の中身を確認しました。
中には聖徳太子と、金庫破りの道具が入っていた。
しかも 血痕付きで。
それを見てあなたは、ぴんときたはずだ。
あれは1959年9月に、あなたたちが山守組の事務所から盗んだ金だと。
あなたと、銀次さん。
『須磨寅の大鼠』にとって最後の仕事だった。
寅二郎はぽつりぽつりと話し始めます。
「戦後の東京はどこも焼け野原で、俺も相棒の銀次も、戦争で親父を亡くした」
泥棒稼業に足を踏み入れたのも、生きるためだ。
俺たちは鼠小僧をまねて、盗むのは悪いやつからだけにした。
だが60年前のあの日、俺たちはしくじっちまった。
山村組に金庫破りに入った銀次と寅二郎は、組の者に見つかり、逃げる際に寅二郎を庇った銀次は右手の親指を失ってしまったのだと言います。
指を失って不自由になった銀次に盗んだ金を全て渡し、それで金庫破りをすっぱりやめて、別れ別れになったのだと話しました。
「それであなたも右手の親指を使うことをやめた?」
「これは俺にとっちゃ、文字通り、罰だ。銀次と同じく、右の親指はないものとする。それが自分に科した罰だった」
なのに、今回の一見は銀次がやったことではないかと疑っていた寅二郎。
そんな寅二郎に、獅子雄は「会ってみますか? 銀次さんに」と言い、寅二郎を別の場所へと案内します。
「まさか・・・」
若宮が膝まづいて祈る背中の向こうにはひとつの墓標。
「須磨銀次さんは、ここに眠っています。去年亡くなったそうです」
捕まった長嶺は、小暮の前で「あの金は須磨のじいさんが私にくれるって言ったのよ」と悪びれもせずに話していました。
銀次の介護士だった長嶺に、金庫と中の金のことを話したのは銀次自身。
「俺の金庫にはな、大金が入ってる。俺が死んだら、東京・江戸川区小岩の羽佐間寅二郎に連絡してくれ」
そう長嶺に話し、金庫の中の金は、半分は寅二郎のものだが、残りの半分は長嶺にやるから、と言ったそうです。
金庫の番号は忘れてしまったが、寅二郎ならちゃんと開けるだろう、とも。
ところが欲を出した長嶺は、男女関係にあった施設庁の寺島と結託して寅二郎に金庫を開けさせつつも、中身を自分たちが奪ってしまおうと画策したのが今回の顛末。
「すまねえ、銀次。俺、お前をうたぐっちまった。すまねえ・・・」
銀次の墓の前で詫びる寅二郎。
「銀次さんは、最後まであなたの相棒だった。よかったですね、相棒がいて」
若宮がしみじみと寅二郎に掛ける言葉も聞かず、ひとり背を向けて立ち去る獅子雄の後姿に、「そういうやつだよな」とため息を吐く若宮。
獅子雄のおかげで、トランプ殺人と長嶺たちの事件の両方を解決できた江藤が獅子雄に電話をかけてきます。
「例の金庫にあった金だけどな、当時届け出があった被害額は4, 000万、だが今回、あいつらから押収できたのは3, 800万」
200万を俺が取ったとでも?と言う獅子雄は、若宮に話したように、「あるはずのものがない、だから盗まれた、お前も固定観念がっちがちだな」と言います。
届け出が真実の金額とは限らない、と獅子雄が言うと、江藤も、「反社の金だしな」と半ば納得します。
江藤の話にそれ以上つきあうつもりのない獅子雄は電話を切りました。
「どうすんの?」
「何が?」
「あの子に真実を伝えるつもり?」
「もちろん」
寅二郎が犯罪者だったという事実は残酷過ぎないかと心配する若宮に、「俺が彼なら真実を知りたい」と獅子雄は言います。
そんな獅子雄にプリンを差し出して「食う?」と訊ねてやる若宮でしたが、机の足下の金庫から札束をふたつ取り出した獅子雄にぎょっとして、
「何? それ? えっ? ちょっと、それ! 聖徳太子だろ? おい! 泥棒じゃないか。まずいだろ!」と叫びます。
何も言わずに出かけていく獅子雄の背中に若宮が叫びます。
「やっぱ、プリン食ったの、あんただろ!?」
――血を見ることも、
人生をゆがませることもなく、事件は終わった。
いや、果たして本当に、誰の人生もゆがませずに済むのだろうか。
それは、このゆがみきった男の手に掛かっている――
獅子雄が河原に座っている虎夫のもとへ行きます。
「じっちゃんの正体について話そうと思ってな」
「やっぱ、じっちゃん、ヤバいやつだったんですか」
「・・・ああ。大泥棒だ。だが、生きるためだった。しかも盗んだ相手は極悪人ばかりだ」
「それって気休めですか。『それでもじっちゃんが好きです』とでも言わせたいんですか」
だとしたら?と獅子雄が優しく訊ねます。
「嫌いだね」
獅子雄は、虎夫が右の斜め上を見ながら言った、と指摘し、虎夫の嘘を見破ってみせます。
「請求書だ」
額面は200万円。
そして請求書の後ろにはもう一枚。
「宝の隠し場所だ。とっとと解いて、払ってくれ」
嬉しそうに地図を手にして河原を駆けていく虎夫。
『シャーロック』【第7話】の感想および考察
人形の生徒の並ぶ教室(笑)。回を重ねるごとにどんどんコミカルさが増していく気がします。
教師が若宮くんというところも〇。今後もこういう寸劇的な場面が出てくるのでしょうか。楽しみです。
今回は『サセックスの吸血鬼』に出てくる「スマトラの大鼠」を題材に取っていましたね。
“「マティルダ・ブリッグスといっても若い女の名じゃないんだよ、ワトスンくん」ホームズは古いことを追想しながら話す。
「『スマトラの大鼠』に関係のある船の名前だ。この話はまだ世間に知れ渡っていないんだがね」”
原典にある「語られざる事件」としての『スマトラの大鼠』はこれだけ。味付け?に、『技師の親指』という短編(『シャーロック・ホームズの冒険』所収)をちょこっと混ぜた感じでしょうか。
でも、原典の『技師の親指』は語られざる事件ではありませんし、まあ、きっと、一応、原典の中からストーリーの組み立てをしているという感じで取り入れたエピソードのような気がします。
今回、脚本は東山狭とクレジットにありました。んむむ。道理で井上テイストではない筋書きと結末だなあと思われた方は多いのではないでしょうか。
冒頭の若宮ちゃんのモノローグとストーリーもちぐはぐでしたしね。これ、演出家の西谷氏のとりあえずな別名か?とか思っちゃいます。西:東、谷:山、弘(ひろし→広し):狭→狭い? ただの邪推で、本当に東山狭氏という脚本家さんがおられたのならゴメンナサイを先に申し上げておきます。
それにしても、バイオリンを河原で弾く獅子雄にデッドボールというギャグは、個人的にはいただけなかったなあ。
あれは(あくまでワタクシ個人の解釈ですよ)獅子雄が自分の脳内で推理を繰り広げるときのイメージであって、現実に弾いているのではないと思うのですよ。
それをデッドボールを食らって倒れるっていうのはおディーン様ファンにはどう受け止められたのか気になるところです。あとでネット上をさまよってみたいと思います。
プリンと騒ぐ若宮ちゃんの嗜好はともかくとして、とりあえずは「相棒」のキーワードが前面に押し出された今回。獅子雄はどこまで「若宮ちゃん」を相棒と思っているのか、もう少し表情を見ていきたいと思います。
と言っている間にもう7話終了ですよ。「守谷」で盛り上がるのかと思ったのに!
追伸。今回レオの登場シーンがなくなっちゃっていたのも悲しい~。
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